マンションなどの集合住宅では、定期的に「排水管一斉高圧洗浄」が実施されることがあります。これは、各住戸の専有部分だけでなく、建物全体の共用部分の排水管も含めて、専門業者が高圧洗浄を行うものです。なぜマンションでは、このような一斉洗浄が必要なのでしょうか。その理由は、集合住宅の排水管が、各住戸で独立しているわけではなく、縦に繋がる主管(共用部分)を通じて、最終的に下水道へと接続されている構造にあります。つまり、ある住戸の排水管の詰まりや汚れが、他の住戸の排水の流れに影響を与えたり、共用配管全体の詰まりを引き起こしたりする可能性があるのです。特に、上層階の住戸で排水管が詰まると、その影響が下の階の住戸に及び、排水が逆流して漏水事故につながるケースも少なくありません。このようなトラブルを未然に防ぎ、建物全体の排水機能を維持するために、管理組合が主体となって計画的に一斉高圧洗浄を実施することが非常に重要になります。一斉洗浄では、各住戸のキッチン、洗面所、浴室、洗濯機パンなどの排水口から高圧洗浄ホースを挿入し、専有部分の枝管と、それに繋がる共用部分の縦主管の一部を洗浄します。これにより、個々の住戸レベルでは対応できない共用配管内の汚れも除去することができ、建物全体の排水トラブルのリスクを低減させることができます。実施頻度はマンションの築年数や配管の状況、管理組合の方針によって異なりますが、一般的には1年から3年に一度程度行われることが多いようです。居住者にとっては、作業日には在宅が必要になったり、一時的に水の使用が制限されたりと、多少の不便さは伴いますが、自身の住戸だけでなく、マンション全体の資産価値と快適な住環境を維持するためには不可欠なメンテナンスと言えます。もし、お住まいのマンションで排水管の一斉高圧洗浄が計画されている場合は、その重要性を理解し、積極的に協力することが望まれます。