縦型洗濯機とは異なる原因や対策が必要になる場合もあるため、ここではドラム式洗濯機のしつこいドブ臭さに関する対策事例をご紹介します。Aさん宅では、購入して3年ほどのドラム式洗濯機から、生乾き臭ともカビ臭ともつかない、湿ったドブのような臭いがするようになりました。市販の洗濯槽クリーナー(塩素系、酸素系ともに試した)を使っても改善が見られず、洗濯後のタオルなどもなんとなく臭う気がして悩んでいました。まずAさんが疑ったのは、洗濯槽自体のカビです。しかし、定期的に槽洗浄は行っており、目に見えるカビはありませんでした。次に確認したのが、ドアのゴムパッキン部分です。ドラム式洗濯機は密閉性が高いため、このパッキンの溝に水や洗剤カス、糸くずなどが溜まりやすく、カビや雑菌の温床になりやすい箇所です。確認してみると、やはりパッキンの内側に黒ずんだ汚れが付着していました。これを丁寧に拭き取り、乾燥させることを徹底しましたが、臭いは完全には消えませんでした。そこでAさんは、さらに原因を探るべく、取扱説明書を読み返し、フィルター類の掃除状況を確認しました。糸くずフィルターはこまめに掃除していましたが、見落としていたのが「乾燥フィルター」とその奥の部分です。Aさん宅の洗濯機は乾燥機能付きで、乾燥フィルターには洗濯物のホコリが溜まります。フィルター自体は掃除していましたが、そのフィルターを外した奥の部分にも、湿ったホコリがびっしりと付着していたのです。この湿ったホコリが雑菌の繁殖源となり、ドブのような臭いを発生させていたと考えられました。手の届く範囲でホコリを取り除き、乾燥機能を定期的に使用して内部を乾燥させるようにしたところ、徐々に臭いは改善されていきました。さらに、Aさんは排水トラップの掃除も行いました。洗濯機パンの排水口に溜まった糸くずやヘドロを除去したことも、臭いの軽減に繋がったようです。この事例から分かるように、ドラム式洗濯機の臭い対策では、洗濯槽だけでなく、ドアパッキン、乾燥フィルター周り、そして排水経路といった、特有の汚れやすい箇所を重点的にチェックし、清掃・乾燥させることが重要です。それでも改善しない場合は、乾燥ダクト内部など、分解しないと掃除できない部分に問題がある可能性も考えられるため、専門業者への相談も検討すべきでしょう。