賃貸物件を探す際、内見は重要なイベントです。間取りや日当たり、周辺環境などをチェックし、新生活への期待に胸を膨らませる瞬間です。しかし、内見時には気づかなかった、あるいは意図的に隠された設備不良が存在することがあります。これは、入居後の生活を大きく左右する問題であり、場合によっては「告知義務違反」に該当する可能性もあります。告知義務とは、不動産会社や大家さんが、賃貸借契約を結ぶ前に、物件に関する重要な情報を借り手に伝える義務のことです。例えば、雨漏り、給湯器の故障、エアコンの不具合など、生活に支障をきたす可能性のある設備不良は、告知義務の対象となります。しかし、中には、これらの情報を意図的に隠したり、曖昧な表現で伝えたりする悪質なケースも存在します。例えば、「エアコンは古いですが、まだ使えます」と言われたのに、実際に入居してみると、全く冷えなかったり、異音がしたりするケースがあります。また、「給湯器は問題ありません」と言われたのに、お湯の温度が不安定だったり、シャワーの出が悪かったりするケースもあります。このような場合、告知義務違反に該当する可能性があります。告知義務違反が認められた場合、借り手は、契約の解除や損害賠償請求を行うことができます。しかし、告知義務違反を立証するのは、容易ではありません。内見時に設備不良に気づかなかったことを証明する必要があるため、証拠集めが重要になります。内見時には、必ずすべての設備を実際に動かしてみましょう。蛇口をひねって水が出るか、お湯が出るか、エアコンが正常に作動するか、コンセントが使えるかなど、細かくチェックすることが大切です。また、気になる点があれば、遠慮せずに不動産会社や大家さんに質問しましょう。曖昧な回答をされた場合は、書面で回答を求めることも有効です。さらに、内見時の様子を写真や動画で記録しておくこともおすすめです。これらの記録は、後々、トラブルが発生した際に、重要な証拠となります。入居後に設備不良に気づいた場合は、すぐに不動産会社や大家さんに連絡し、修理を依頼しましょう。そして、やり取りの内容を記録しておくことも忘れずに。もし、対応が不誠実だったり、修理を拒否されたりした場合は、消費者センターや弁護士などの専門機関に相談しましょう。